ヘアサイクル
秋になってからなんだか髪に元気がなくなったと感じたり、
シャンプー後の排水溝や、朝起きた時の枕を見てドキッとしたなど、
髪に不安を感じることはありませんか?
秋は1年でもっとも抜け毛が増えるシーズンで、夏の疲れやダメージが秋になって髪にあらわれると言われています。そのため、秋の抜け毛は一時的なものですが、頭皮や毛根、毛髪にトラブルを抱えたまま放っておくと、将来の薄毛に繋がってしまうかもしれません。
抜け毛とは、それ以上育たなくなった。
髪が皮膚から抜け落ちること
力が加わって抜けた髪や、ちぎれた髪は一般的には抜け毛とは呼びません。
髪にはヘアサイクルという周期があり、成長期、退行期、休止期を経て抜け落ちるというサイクルを繰り返し、つねに古い髪から新しい髪へと生え替わっています。
抜け毛は誰にでも起こる自然な現象なので、心配する必要はありません。
正常なヘアサイクル
成長期:2~6年 | 皮下組織に達した毛球のなかでは毛乳頭が栄養を盛んに取り込み、毛母細胞へ供給し毛が伸びて太くなります。 1日に0.3~0.4mm程度伸びます。 |
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退行期:3週間 | 毛母細胞の細胞分裂が止まり、髪の成長が止まる時期。 |
休止期:3~6ヶ月 | 新しい髪の毛が生える準備が始まる時期。 |
健康な人の抜け毛であれば、抜け毛にはしっかりとした毛根がついています。
また、健康な毛根は白い色をしているのです。
髪の毛は、成長している間は色素が常に供給されているため黒色をしています。
しかし、最後までしっかり成長しきると色素の供給が止まるようになっているのです。
そのため、正常なヘアサイクルで抜けた場合は毛根が白い色をしています。
細い毛根
抜け毛の毛根が細くなっている。丸みを帯びておらず、棒状になっている場合は、栄養不足である可能性が高いです。
髪の毛を生やすために必要な栄養素が不足しているため、毛根で細胞分裂を行うことができず、毛根がやせ細ってしまっているのです。
白い膜がついている毛根
抜け毛の毛根に、白い膜のようなものがついていることがあります。
この白い膜の正体は皮脂です。皮脂の分泌が過剰になっていると、皮脂が毛根にこびりついてしまうのです。
皮脂の分泌が過剰になるのは、脂っこいものばかり食べていたり、頭皮が乾燥していたり、炎症を起こしたりしている可能性があります。
黒い毛根
正常な毛根は透明~白ですが、毛根が黒くなっている場合もあります。
抜け毛の毛根が黒い場合は、メラニン色素が毛根に凝集している可能性があります。
メラニン色素が毛根に残った状態で、髪の毛が抜け落ちているのですから、きちんと成長できていないのに、抜け毛になってしまったということですので、抜け毛が増えている可能性があります。
抜け毛の毛根が黒いのは、ストレスや栄養不足が原因とされています。
しっぽがついている毛根
抜け毛の毛根にしっぽのようなものがついていることもあります。
毛根にしっぽがついている場合は、きちんと成長できていないのに、毛髪を頭皮に固定する力が弱いため抜けてしまった可能性が高いです。
頭皮が乾燥して角化したり、皮脂の分泌が多くなったり、炎症が起こったりしていて、毛根が頭皮にくっつくことができなくなったため、ちょっとした刺激で抜け落ちてしまうのです。
これらの原因は、ストレスや血行不良、ホルモンバランスの乱れなどが考えられます。
毛根がない!
抜け毛をチェックしていて、毛根がないとビックリする人もいるかもしれません。抜け毛に毛根がないように見えるのは、毛根がないわけではなく、毛根が萎縮してしまっているのです。
毛根が萎縮する原因にはストレスや栄養不足のほかに、内分泌異常や自己免疫疾患などが考えられます。また、円形脱毛症による抜け毛も、毛根が萎縮している可能性が高いです。
女性の抜け毛を予防する方法
女性は抜け毛が増えてくると、いろいろ不安になりますよね。
「このまま禿げてしまったらどうしよう?」とか「頭皮が見えてしまって恥ずかしい」、「髪のボリュームがなくて貧相に見える」などの不安や悩みを抱えていると思います。
女性の抜け毛は、日常生活習慣を見直すことで、予防することができます。
白い毛根を見たことがないという場合は、まだ成長の段階で髪が抜けているということになるのです。
髪の毛が抜けたときは、毛根が白いかどうかチェックしてみてくださいね。
女性の髪は、1日あたり50~100本程度は自然に抜けるといわれています。
髪が長いと、その分抜け毛のボリュームも多く見えてしまいがちですが、この程度の本数は生理現象のため、心配する必要はないでしょう。
健康な人の髪の毛は、2年~6年の成長期を過ぎると退行期・休止期に入り、次第に抜けていきます。
これは「自然脱毛」と呼ばれ、誰にでも普通に起こる現象です。
しかし、
●シャンプーや整髪料のアレルギー
●ストレス・生活習慣の乱れ
●頭皮の乾燥
●頭皮の皮脂過剰
●疾患(AGA、FAGA)などが原因で、頭皮の状態が悪化すると、髪の毛の成長期が短くなり、多くが育ちきらないうちに抜けてしまうように。
これを総称して「異常脱毛」といいます。
「異常脱毛」が起こっているかどうかは、抜け毛を見ればわかります!まずはじっくり観察してみましょう。
- チェックポイント1…毛根の色・形
- 抜けた毛の根本、「毛根」の部分はどうなっていますか? 自然脱毛の髪の毛は、毛根が黒→根本へと次第に白くなっており、マッチ棒のように丸くふくらんでいます。しかし、
●色が全体的に白い(触るとベタベタする) ●色が全体的に黒い ●形が尖っている ●形にくびれがない ●先からしっぽのようなものが出ている
というような毛髪は、何らかのトラブルが原因で抜けている可能性があります。
- チェックポイント2…抜け毛の太さ・長さ
- 自然脱毛の抜け毛には、ある程度の太さがあります。いっぽう、抜けた毛が
●細く弱々しい ●短い というような場合は、成長せずに途中で抜けてしまっているサインです。
- チェックポイント3…抜け毛の本数
- 1日に抜けても良い髪の本数は、大体100本程度。
●1日の抜け毛が200本を超えている と、“薄毛”の危険性があります。
他にも、ご自分の体感で、
●排水溝に溜まる毛が増えた ●枕にたくさん髪の毛がついている ●気がついたらいつも床に髪の毛が落ちている などに思い当たるようなら、抜け毛対策を考えたほうがいいでしょう。 -
1日に抜ける本数は100本近くにもなる
一般的な1日の抜け毛の本数は、50本から100本程度と言われています。
100本というとかなり大量に感じる方も多いかもしれませんが、髪の全体量は10万本なので、「1日に髪全体の0.1%が抜けている」と考えれば、そう不思議なことでもないのではないでしょうか。
抜け毛の量は季節によって変化がある他、「過度な美容やダイエット」、「産後」や「ピルの使用をやめた直後」もホルモンバランスの異常や乱れなどの問題から抜け毛の量が増え、しかも半年近く続くこともあります。
「抜け毛シーズン」には200本以上抜けることも
1年のうち、もっとも抜け毛が増える時期と言われている季節は秋です。
秋になると、1日200本以上抜けることも珍しくないのだそう。
秋に抜け毛が多い理由は、「動物と同じように冬毛になる」「夏の日焼けやダメージが影響して抜け毛が増える」などが考えられますが、通常は1ヶ月もしないうちに、元通りの抜け毛の量に戻ります。
抜け毛の大部分は洗髪時に発生している
では、毛は1日のうちにどのタイミングで抜けているのでしょうか。やはり1番多いのは髪を洗っている時です。1日の抜け毛の半分以上はシャンプー時に抜けています。ただし全ての抜け毛がシャンプー時に初めて抜けるわけではなく、すでに抜けていた毛がお湯で流すことによって髪から洗い出されることがほとんどですから、よほど乱暴な洗い方をしない限りは、シャンプーが原因で抜けてしまうということはありません。
ブラッシングをした後も、抜け毛が気になるものですね。ブラッシングでもすでに抜けた毛が浮いてきますが、無理にとかそうとすると髪がひっぱられて抜けてしまったり、途中で切れてしまったりするので注意しましょう。他にも、寝て起きた時に枕やシーツに抜け毛がついているものです。全てをトータルして100本くらいが許容範囲と考えて、簡単にチェックしてみるのもいいかもしれません。
抜け毛の本数が多いからといって薄毛にはならない
ただし、毛は抜けるばかりではありません。抜ける一方で、新しい毛もちゃんと生えてきます。
髪の毛全体の1割程度は「休止期」といって、頭皮の下で毛母細胞がお休みしている状態です。
お休み期間は2、3ヶ月で、それを終えると随時新しい髪が生えてきますから、先に取り上げたように「毎日髪全体の0.1%が抜けている」ということと合わせて考えると、多少季節的な要因で多く抜けることがあっても、髪の量は保たれると考えて大丈夫なのです。
抜け毛の本数よりも「増減」と「残っている髪」に注目
以上のことから、抜け毛の本数だけで髪と頭皮の状態を判断することは、あまり得策ではないことがわかります。ただし、
・産後やピルといった要因がないのに急に抜け毛の量が増えた
・髪全体のボリュームが減ってきた
・かゆみやフケ、べたつきも気になる
といった症状があるようなら、それは抜け毛対策を今すぐ開始すべきというサインです。
ヘアケアの効果を見ながら、食生活の改善や睡眠の見直しもすると、だんだんと抜け毛も落ち着いてくるはず。
また、血行を良くするために適度に身体を動かしたり、マッサージをしたりすることもおすすめです。
しかし、それでも抜け毛が多くなったと感じる場合は、何かしらの要因があるため、対策をすべきかもしれません。
今回は、女性の抜け毛のおもな原因と対策について。
女性の抜け毛の原因とは?
加齢による髪の成長サイクルの乱れ
加齢とともに、私たちの髪の成長サイクルは乱れやすくなります。
特に、髪が抜けてから新たに生え始めるまでの「休止期」が長くなり、髪が細くなったり、抜けやすくなったりすることで、ボリュームが減ったと感じやすくなるのです。
血行不良
頭皮が硬い場合、血行不良の可能性が高くなります。
毛根は頭皮の毛細血管とつながっていて、血行が悪いと毛根に栄養が行きわたりにくくなってしまうのです。
その結果、毛が細くなったり、抜け毛を引き起こしやすくなったりします。
頭皮は体の末端にあるため、元々血が巡りにくい部位。
そのため、特に意識して頭皮の血行を良くしていく必要があるのです。
生活習慣の乱れ
仕事や育児などで、生活習慣が乱れてしまいがちな女性は多いでしょう。
栄養不足や睡眠不足といった生活習慣の乱れが、体内での新しい細胞づくりを阻害するため、抜け毛や細毛の原因となってしまいます。
不規則な生活を改めるのはもちろん、栄養バランスのとれた食事や、ストレス発散を日々の生活に取り入れて、ホルモンバランスを整えていくことが大切です。
過度なカラーリングやパーマ
カラーやブリーチ、ハードパーマといった、薬剤を使う髪への施術を短いスパンで繰り返すことも、髪が傷み、抜け毛が増える原因となります。
パーマやヘアカラーの薬剤は、髪だけでなく頭皮にもダメージを与えます。
薬剤が頭皮にふれることで頭皮が荒れ、髪の生成を阻害してしまうのです。抜け毛や髪の傷みが気になるときは、こうした髪への施術は極力控えたほうがいいでしょう。
季節的な抜け毛
抜け毛の量は季節によって変化し、春と秋の季節の変わり目は特に抜け毛が多くなる傾向にあります。
そのため、この時期は抜け毛がある程度多くなっても、あまり不安に思う必要はありません。
同じ髪型を長く続けている
同じ髪型を長く続けている場合も、抜け毛が増えやすくなります。特に、ポニーテールのような髪を引っ張るヘアスタイルは、髪と頭皮の両方へ負担がかかりやすく、抜け毛が増える原因となるため注意しましょう。
一日中髪を結ぶのではなく、髪を下ろして頭皮を休ませる時間を作るのがおすすめです。
また、ずっと髪の分け目を同じ場所にし続けるのも避けたいところ。
できるだけ髪型や分け目を変える工夫をして、頭皮への負担を軽減させることがポイントです。
出産後の抜け毛
出産後、一時的に抜け毛が増えるケースも珍しくありません。
これは、妊娠中にホルモンバランスが大きく変化することで、髪の成長サイクルが影響を受け、本来はそのときに抜け落ちるはずの髪が抜けずに残った状態となることが原因です。
出産を終えてホルモンバランスが戻ると、妊娠中に抜けずに残っていた髪と、出産後に正常に抜ける時期を迎えた髪が同時に抜け落ちます。
この場合、髪の成長サイクルが正常に戻れば新しい髪が生えてくるため、基本的には心配いりません。
ただし、育児や家事の忙しさによるストレスや睡眠不足、栄養バランスの偏りなどが続くと、円形脱毛を引き起こしてしまう可能性があります。
出産後の生活習慣には、十分注意しましょう。
毎日実践したい抜け毛の予防法
髪の洗いすぎは禁物
特に夏は、頭皮の脂っぽさやにおい、ベタつきが気になって、朝晩2回髪を洗う方もいます。
しかし、髪の洗いすぎは、抜け毛の原因にもなるため要注意。
基本的には、夏場は髪と頭皮の皮脂や汗を落とし、清潔な状態を保つためにも、シャンプーは毎日行って構いませんが、1日1回で十分でしょう。
乾燥しやすい冬は、頭皮の状態や年齢によっては、2日に1回の頻度でも問題ありません。
シャンプーに関して注意したいのは、女性の場合は頭皮が乾燥しがちな方が多く、乾燥した頭皮に洗浄力の強いシャンプーを使うと、さらに乾燥したり、ダメージを招いたりします。
なお、抜け毛が気になるときは、低刺激タイプのシャンプーがおすすめ。
アミノ酸系の洗浄成分を配合したタイプなど、刺激の少ないシャンプーが登場しているので、意識的にそういった物を選ぶようにしてください。
ただし、シャンプーに含まれる「防腐剤」には気を付けて。
防腐剤入りのシャンプーが、抜け毛の原因となってしまうことがあります。
このように、シャンプーの成分も意識しつつ、毎日の洗髪は優しく行ってください。
お湯で髪を洗い流すだけでも、汚れは十分に落とすことができますよ。
シャンプー時の頭皮マッサージが有効
頭皮の血行を良くして、髪にきちんと栄養が行き届くようにするためにも、シャンプーをする際には頭皮マッサージをしてみましょう。時には、美容室でヘッドスパを受けることもおすすめです。
頭皮マッサージは、指を使ったマッサージのほか、マッサージブラシを使うのも◎。
頭皮にブラシを押し当てて、気持ち良く感じる程度の強さで、頭皮を動かすようにマッサージしてみましょう。
ブラッシングで頭皮や髪に付着した汚れを落とす
毎日のヘアケアで重要なのがブラッシング。ブラッシングは、髪の絡まりやもつれを解くだけでなく、頭皮や髪についた汚れを落とす役割があります。
さらに、頭皮の皮脂を髪全体に行きわたらせ、髪に潤いを与えてくれます。
生活習慣を改善
●睡眠を6時間以上とる
●栄養バランスの良い食事をとる
●ストレスを発散させる
●たばこ・アルコールは控える
髪を作る細胞は、睡眠時に作られて成長します。
食べ物だけで栄養を補えないという場合は、サプリメントの活用もおすすめ。
抜け毛が始まる「平均年齢」は?若い世代はダイエットに注意
一般的に、抜け毛や薄毛が気になり始めるのは、30代後半くらい。
まずは髪の質感が変化して、ツヤ感低下やうねりが発生します。
そして40代に入ると、“分け目が透ける”“髪を結んだ時に量が減った”“根元がふんわり立ち上がらない”など、目に見える変化を実感する女性が増えています。
「本来抜け毛・薄毛は、加齢とともに発生する自然な現象です。
しかし、急激なダイエットをすると、若い世代でも髪がやせ細ってしまいます。
また学業や仕事のストレスから薄毛に悩み、10~20代で来院される患者さんもいます」
10代など若い世代の場合、“ヘアスタイル”が抜け毛の原因に関係しているケースも。
ポニーテールやシニヨンなど、同じ部位の髪に負荷をかけ続けた結果抜け毛に繋がることがあり、美的世代も油断は禁物です。
抜け毛が多い季節は?注意が必要な抜け毛の本数って?
シャンプー後に排水溝を見て「今日はこんなに抜け毛が!?」と、驚いた経験はありませんか?
「髪は成長期、退行期、休止期を経て(ヘアサイクル)、自然に根元から抜け落ちます。
だいたい1日平均80~100本くらいは、許容範囲です」。
特に季節の変わり目は抜け毛が増える傾向があるそう。
「なかでも夏の終わり~秋口は、夏の紫外線ダメージの影響で抜け毛が増える傾向にあります」
“こんな感じで抜け落ちたら要注意”という、目安はあるのでしょうか?
「何もしなくてもハラハラ抜け落ちる、髪に指を通すと必ず複数の毛が引っかかってくる、朝起きた時に枕に尋常でない量の髪がついている、というのが目安になると思います。
もし一時的な現象ではなく、そのような状態が続くようなら、専門医への相談をおすすめします」
薄毛が目立ちやすいのは「頭頂部」「分け目」「側頭部」
最初に薄毛が目立ちやすいのは“生え際”です。鏡で見たときに真っ先に目に入るため、自分で気づきやすいそう。
「ご自身で気づきにくいのが、頭頂部の“つむじの周囲”です。ここも毛量が減りやすく、つむじから“分け目”にかけて、徐々に地肌が透けていきます。
もともと地肌が露出する部分ですから、1本の髪が細くなったり、本数が減ると、薄くなった印象が際立ちます」
もしフロントが気になり始めたら、実は頭頂部もボリュームダウンしている可能性が!
さらに“サイド(側頭部)”も薄くなっている可能性があります。
「後頭部や頭頂部に比べて、サイドはもともと毛穴の数が少ないと言えます。
髪をかきあげたりアップにした時に“あれっ”と気づく方が多いようです。
毛穴の数は生まれつき決まっていて一生変わりません。
ボリューム感をキープするには、髪を生み出す毛母細胞の働きをいかに保つか、そして1本1本の髪を太く健やかにすることが大切です」
女性に多い抜け毛・薄毛のタイプ
女性の薄毛は、原因や症状によって、いくつかに分類されます。
最も多いのは“びまん性脱毛症”と呼ばれるものです。
「びまん性脱毛症は、頭頂部から分け目にかけて少しずつ毛量が減り、やがて全体的に薄くなっていきます。
その他には、男性のように特に頭頂部が薄くやりやすいFAGA(女性男性型脱毛症)、出産後に髪が抜けやすくなる分娩後脱毛症などが知られています」。
以下は、主な女性の脱毛の種類です。
【主な女性の脱毛の種類と原因】
びまん性脱毛症
血流の低下や、女性ホルモンの低下など、様々な原因が関係して発生する脱毛。
加齢とともに発生することが多く、髪が全体的に薄くなっていきます。
FAGA (女性男性型脱毛症)
加齢によるホルモン低下によって生じる脱毛です。
男性と違って生え際のラインは変わらず、髪全体が薄くなり、特に頭頂部が透けやすい傾向があります。
分娩後脱毛症
出産前後に女性ホルモンの分泌量が変化することで生じる脱毛です。
1年~1年半程度で自然に元に戻りますが、高齢出産や多胎出産などのハイリスク出産で体力の回復が遅い場合、戻りにくいケースも。
円形脱毛症
本来は体を守るリンパ球が毛根にダメージを与え、円形に脱毛する自己免疫疾患の一種です。
年齢に関係なく発生し、ストレスが関与すると言われていますが、科学的根拠は今のところありません。
牽引性脱毛症
ポニーテールなど、同じ髪型を長く続けることで発生する脱毛です。
髪を引っ張ることで毛包が萎縮したり、毛根の血流が阻害されることが原因と言われています。
頭皮のトラブル
皮脂に汚れや雑菌が繁殖したり、過剰な洗浄から乾燥を引き起こすなど、頭皮のトラブルから発生する脱毛です。
円形脱毛症は「アレルギー」の一種
年代に関係なく発生する抜け毛の一つに“円形脱毛症”があります。
頭部を含め色々な場所に発生し、円形に毛が抜け落ちる症状で“10円ハゲ”と呼ばれることも。
「円形脱毛症は、加齢にともなう抜け毛とは異なり“アレルギーの一種”です。
免疫細胞のリンパ球が、本来は自分の仲間である毛根の細胞を敵とみなして、攻撃してしまうことで起こります。
毛根にダメージを受けた結果脱毛が起こりますが、その原因や、なぜ円形に脱毛するかなどは、まだよくわかっていません」
ストレスがあると円形脱毛症になると言われていますが、これはストレスが免疫を低下させるため。
「ただしストレスだけが原因ではなく、円形脱毛症は自己免疫疾患の一つです。
アトピーやぜんそくを持っている人は、かかりやすい傾向があります」
このように、女性の抜け毛・薄毛の原因はさまざまで、それぞれ対応策も違います。
女医に訊く#15|女性の抜け毛・薄毛はなぜ起こる?原因を医師が解説
医師が教える女性の抜け毛の原因対策
抜け毛の対策には「食べ物」と「睡眠」が大切
抜け毛や薄毛対策に自分で実践できることとしては“食生活を見直すこと”“良質な睡眠をとること”、この2点が大きいそうです。
「食べ物に関してはビタミン、ミネラル、タンパク質、炭水化物をバランスよく摂取することが理想です。
特に髪を作るタンパク質や、タンパク質の合成に関わるビタミン B 群を積極的に摂取しましょう。
スタイルを気にして過度なダイエットを実践すると、髪に栄養が行き渡らず1本1本の毛がやせ細ってしまいます。
食事制限する場合でも、無理はせず栄養のバランスに配慮してほしいところです」
睡眠時間は、毎日最低5~6時間は確保して。
なるべく“夜寝て朝起きる”、太陽のリズムとともに就寝・起床すると、髪の成長に関与するホルモンのバランスが整いやすくなります。「しっかり睡眠をとることで、抜け毛の原因の1つとなるストレスの緩和にもつながります。
さらに細胞の成長を促す成長ホルモンの分泌にも関わってくるので、良質な睡眠を心がけて」
抜け毛が気になる時は「シャンプー習慣」の見直しを
自分でできる抜け毛対策として、“毎日のシャンプー習慣を見直すこと”も重要です。
きちんと汚れを落とし、清潔に保つシャンプーは、髪の土台ともいえる“頭皮環境”を整える大切なステップ。
「頭皮の脂っぽさや臭いを気にする方もいますが、“洗いすぎ”には注意が必要です。
女性の場合、総じて頭皮がオイリーな方は少ないと言えます。
頭皮が乾燥しているのに洗浄力が強いシャンプーを使うと、乾燥やダメージが抜け毛の原因になることも。
抜け毛が気になる時は、アミノ酸系洗浄成分を配合した“低刺激のシャンプー”に切り替えるのも一案です」
シャンプーをするとある程度髪は抜け落ちますが、抜け毛が気になるときはシャンプーしたほうが良いのでしょうか、それとも少し控えたほうが良いのでしょうか。
「頭皮の汚れを落とし、清潔に保つという意味では、汗や皮脂が気になる夏は毎日洗髪して良いと思います。
ただし冬場は、頭皮の状態や年齢によって、一日一回もしくは二日に一回の頻度で調整すると良いでしょう」
“洗った直後”“翌日の朝”“翌日の夕方”、この3つのポイントで頭皮を触ると、自身の“頭皮のべたつき感や汚れの変化”を判断しやすいといいます。
いずれにせよ、1日に複数回シャンプーするのは“洗いすぎ”の可能性が高いようです。
抜け毛・薄毛に悩んだら「病院」はどこに行けばいい?
抜け毛や薄毛に悩んだ時、どの病院へ行けば良いのでしょうか?
保険診療の範囲で治療できるという意味で言えば頭皮のトラブルや円形脱毛症は、一般的に皮膚科の領域とされています。
しかし、それ以外の複雑な女性の薄毛に対応するには限界があるのも事実です。
「可能であれば“頭髪専門外来”がある病院がよいと思います。
頭皮の状態はもちろんのこと、血液検査でホルモンの状態を調べたり、専門の医師が女性の薄毛・抜け毛に対して、多角的な診断を下すことが可能だからです」
また治療の選択肢が豊富なことも、頭髪専門クリニックの特徴です。
内服薬や外用薬、サプリメント、点滴療法、必要によってはホルモンを補充するなど、その人に合った治療が叶います。
頭髪専門の病院で受けられる薄毛治療の一例
以下は頭髪外来で受けられる、抜け毛・薄毛に関する治療の一例です。
薬剤による治療
内服薬による治療と外用薬による治療があります。
唯一発毛効果が認められているミノキシジルを中心に処方されます。
その人によって使う薬や濃度が変わりますが、一般的に市販薬よりも医師の診察による処方薬のほうが高濃度で且つ浸透率も高いと言えます。
サプリメント
普段の食生活だけでは不足しがちな栄養素を高濃度の医療用サプリメントで補います。
髪のタンパク質合成を促す“鉄”“銅”“亜鉛”“カルシウム”や“マルチビタミン”など。
ドクターズサプリメントは、市販のサプリより濃度や吸収率に優れています。
点滴療法
髪や爪の成長に必要な成分を点滴します。
直接血管に投与することで、内服薬や外用薬の効果を、効率良くサポートします。
ホルモン補充療法
ホルモンの分泌量を検査したうえで、天然型のホルモンクリームなどで、不足しているホルモンを補います。
円形脱毛症の治療は脱毛の状態や経過を考慮して選択を
円形脱毛症は、その発症の原因と思われがちなストレスはあくまできっかけにすぎず、免疫の異常で起こる「自己免疫疾患」の一つです。
個々の体質も関係し、性別や年齢を問わず発症し、自然に治る場合もあるが、再発しやすいのが厄介な点といえます。
それゆえ、治療方法についても患者さんごとに脱毛の状態や経過を考慮して選択しなければなりません。
まだ始まったばかりで小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用療法やグリチルリチン、セファランチンの内服療法で様子をみます。
狭い範囲で経過が長引くようなら、脱毛部にステロイドを局所注射する治療法や雪状炭酸圧抵療法もあります。
ステロイドの局所注射は痛みを伴うことと、副作用として注射したところがへこんでしまうことがあり得ること、注射部分にだけ毛が再生することが難点で、広範囲な場合は不適当となります。
雪状炭酸圧抵療法はドライアイスで脱毛部を軽く冷却する方法です。
急速に拡大する場合はステロイドを内服すると難治の場合もかなり効くことがあります。
広く脱毛して6ヶ月以上も続いている場合は、局所免疫療法が適応となります。
局所免疫療法は、かぶれを起こす特殊な薬品(SADBE、DPCPなど)を脱毛部に塗って、弱いかぶれの皮膚炎を繰り返し起こさせる治療法です。
ただし、使う薬品は健康保険で認められてはおらず研究試薬ですので、使用に当たっては患者さんの同意が必要です。
副作用として、人によってはひどいかぶれが起きることがあるので注意を要します。
薬品の濃度や塗り方が大切ですので、専門医にしてもらうべき治療です。
病院における抜け毛・薄毛治療の回復率は約70~80%
抜け毛・薄毛対策には、生活習慣の改善や市販の育毛剤など、自分で出来ることも存在します。
しかし、もし本当に悩んでいるなら「ぜひ頭髪専門医の治療を選択肢の一つに」。
「抜け毛の原因を、頭皮だけではなく身体全体のバランスから診断し、その方に合った治療を選択できるのは、頭髪専門医ならではの治療といえるでしょう」
20代の髪に100%戻るのは難しいとしても、医学的な治療を行うと平均70~80%くらいの改善は期待できるといいます。
そして何より、抜け毛・薄毛の背後に隠された女性特有の悩みを、専門の医師に相談できる点も魅力です
「女性の抜け毛・薄毛の原因は、その人ごとに違います。悩みをうかがった上で、どんな治療をするか。
そして生活習慣をどういう風に工夫していくか、親身にサポートすることこそ医師の重要な役割と考えます。
髪は伸びるのに時間もかかりますから、治療には一定の時間が必要です。
その点をご理解いただいて治療を開始し、薄毛が改善する患者さんも少なくありません。
まだ頭髪専門クリニックは一般的ではありませんが、まずはその存在を知ってもらえたらと思います」
生えてきた毛が自然に抜けるまでの期間は、だいたい4~6年。そして、1日に自然に抜ける髪の毛は50〜80本。100本程度なら普通です。もし、抜けた毛が細くて短いものが多ければ、ホルモンバランスの乱れ、加齢、頭皮ダメージなどで髪が充分に成長できず、「早期成長期」からいきなり「退行期」へ移行してしまった場合が毛髪サイクルを元に戻すケアが必須です。
健康なヘアサイクル
□ 長くて硬い髪の毛が抜ける
□ 1日50〜80本くらい抜ける
乱れたヘアサイクル
□ 細くて柔らかい髪の毛が抜ける
□ 抜ける本数が目立って多い